Researchat.fm

Researchat.fmは、バイオロジーの研究者3人がアツいと感じていることを自由に話すポッドキャスト番組です。

48. XXXXXYYYYY

Published on Mar 02, 2020

Episode summary

レベルEのサキ王女編からスタートし、アメフラシ、ボネリムシ 、半倍数性、ヴォルバキアによる破壊、ゾウリムシ、カモノハシ、オスの三毛猫など、真核生物における多様な性決定システムと性染色体について話しました。

Starring

soh
soh
tadasu
tadasu
coela
coela

Show notes

  • レベルE … 冨樫義博先生の怪作。生物SF満載。マクバク族サキ王女編について言及。
  • SRY(sex-determining region Y) … 一部の哺乳類において性決定に重要な遺伝子。
  • Koopman et al. Nature (1991) … SRYをメスのマウスのembryoにおいて発現させてオス化させた論文。
  • heterogamety …異型配偶子性。XYやZWのような性染色体がヘテロな状態の配偶子をさす。
  • homogamety … 同型配偶子性。XXやZZのような性染色体がホモな状態の配偶子をさす。
  • XX型/XY型 … 雌がホモ(同型)、雄がヘテロ(異型)な場合の性染色体の名前のつけかた。 (例)ヒト、マウスなど
  • ZZ型/ZW型 … 雄がホモ(同型)、雌がヘテロ(異型)な場合の性染色体の名前のつけかた。(例)チキンなど
  • XX型/XO型 … 雌がXX、雄がXOという性染色体を持つ場合を指す。Oはこの場合Y染色体が存在しないことを指す。バッタやアマミトゲネズミなどでみられる。
  • アマミトゲネズミ … 日本の固有種。哺乳類でありながらXO型の染色体を持ち、Sryを持たない。
  • 黒岩真麻 … アマミトゲネズミなどにおける性決定システムの研究者
  • Bachtrog et al., PLoS Biology (2014) … 性決定に関する網羅的なレビュー。
  • … 生物における性、セックスについて
  • 雌雄同体/同株
  • アメフラシの交尾 … “アメフラシは雌雄同体で前が雌役、後ろが雄役。数個体か集まると連なるように交尾をします。”
  • Yatsu et al., Scientific Reports (2016) … ミシシッピワニと温度依存の性決定システムについて。温度依存性チャネルとイオンシグナル
  • ボネリムシ
  • 生きものの記録艶説
  • 半倍数性
  • 半倍数性の機構 … 相補モデル、バランスモデル、インプリンティングモデルについて
  • 体細胞分裂 … 真核生物において、一個の細胞から二個の細胞が生み出される現象。染色体の倍数性は維持される。
  • 減数分裂 … 真核生物において、一個の細胞から四個の細胞が生み出される現象。最終的に産出される細胞の染色体の倍数性は半分になる。
  • 対立遺伝子(アレル)
  • UV染色体 … コケ類など、一倍体の期間(配偶体期)において、性染色体により雌雄が決定される生物に用いられる命名方法。日本ではXY染色体と言われることが多い。U染色体を持つのが雌性、V染色体を持つのが雄性となる。
  • ヴォルバキア … 水平感染はほとんどなく、垂直感染によって広がる。精子を経由することができず、卵のみで伝えられるため、ミトコンドリアなどの伝播様式と比較されることも多い。オスゴロシやメス化など、メスを多くするための戦略をとることが知られている。ある意味ドーキンスの申し子。ミトコンドリア・イヴならぬ、Wolbachial Eve (ヴォルバキア・イヴ)がいるということか。
  • エルフェンリート
  • 岡本倫
  • ノノノノ
  • パラレルパラダイス … いわゆるPレルPダイス
  • オートガミー … 繊毛虫において見られる特殊な接合様式。一個体の中で接合が行われる。
  • ゾウリムシ
  • 性の源をさぐる
  • ペドガミー … 太陽虫において見られるオートガミー様の接合様式
  • 太陽虫
  • 有糸分裂(mitosis) … 一般的な真核生物における分裂様式
  • 無糸分裂(amitosis) … ゾウリムシやテトラヒメナなどの原生生物の大核において見られる分裂様式
  • スティロニキア
  • トゲツメミズケムシ
  • Ammermann, Archiv für Protistenkunde (1982) … Stylonychia mytilus EHRBGの接合型について。
  • スイバ … 性染色体がXX型/XY1Y2型と雌雄で本数が異なる。木原均先生が種子植物において初めて性染色体を報告した植物。染色体数は雌株が2n=14=XX+12, 雄株は2n=15=XY1Y2+12である。
  • ツマモンヒロバカゲロウ … ツマモンヒロバカゲロウ(Plethosmylus decoratus)はX1X1X2X2型/X1X2Y型の性染色体を持っている。
  • 新世界ザル/旧世界ザル … 類人猿の分類
  • ホエザル(Alouatta)
  • Steinberg et al. Cytogenet Genome Res. (2008) … ホエザルの性染色体はX1X1X2X2型/X1X2Y1Y2型となっている。
  • カモノハシ … 哺乳類であるが卵生である。性染色体はX1X2X3X4X5X1X2X3X4X5型とX1X2X3X4X5Y1Y2Y3Y4Y5型である。
  • 単孔類
  • ハリモグラ … 単孔類はカモノハシとハリモグラからなる。性染色体はX1X2X3X4X5X1X2X3X4X5型とX1X2X3X4X5Y1Y2Y3Y4O型である。Y5が存在しない。
  • 有袋類
  • Grützner et al., Nature (2004) … DOP-PCRを基にしたFISHを行うことでカモノハシの性染色体を調べた論文。chain pairingと染色体進化について言及。
  • DMRT1 … 性決定遺伝子の一つ
  • キアズマ
  • Robertsonian translocation … ヒトにおける染色体の転座。転座に従って、chain pairingが発生することもある。
  • Moura et al., Genetics and Molecular Biology (2008) … ブラジルに住むユークロマギガンテアL.1735という甲虫の染色体を調べた論文。X1X2X3X1X2X3型とX1X2X3Y1Y2Y3型の染色体を持つ。multivalent chain pairingの美しいFigureが見られる (Fig.2)。
  • Santos and Luykx, Biochem Genet. (1985) … シュワルツカンザイシロアリの染色体。X1X2X1X2型とX1X2Y1Y2型の染色体を持つ。Fig2において美しいmultivalent chain pairingのFigureが見られる(Fig2)。
  • Cleland, Advances in Genetics (1962) … オオマツヨイグサにおけるmultivalent chain pairing
  • PAR(pseudoautosomal region) … X染色体とY染色体の相同な領域。同一の染色体に由来しているという名残。
  • dosage compensation (遺伝子量補償)
  • Barr and Bertram, Nature (1949) … バー小体を猫のニューロンで観察した論文
  • Ohno et al., Experimental Cell Research (1959) … X染色体のヘテロクロマチン化について
  • Ohno and Hauschka, Cander Research (1960) … バー小体とX染色体の関係性について
  • Lyon, Nature (1961) … X染色体の不活性化についてのモデル
  • X染色体の不活性化
  • エピジェネティクス … 定義は確定しておらずふらついているため、いつか専門家を集めて討論したい。
  • クラインフェルター症候群
  • CCL-28 … クラインフェルター症候群の患者から採取された培養細胞。XXXXYの染色体を持つため、Xの不活性化を調べるためによく使われる。
  • 三毛猫
  • 駒井卓
  • Komai, 北海道大學理學部紀要 (1957) … 配信では少し言い間違えたが、オスの三毛猫が存在することのモデルを考えた論文。オスの三毛猫が存在しないことを示した論文ではない。
  • 遺伝研の三毛猫
  • Robertsonian translocation
  • Deakin et al., PLoS genetics (2008) … カモノハシにおける遺伝子量補償を探った論文。
  • Rens et al, PNAS (2010) … Xistや遺伝子量補償システムの哺乳類における進化について言及した論文。有袋類と単孔類の培養細胞を用いた研究。
  • Whitworth et al., Stem Cells and Development (2019) … カモノハシのiPS細胞を作った論文。こういった方法でいろいろな細胞を調べる方法が進んでいくと思われる。ちなみに導入したのはhOCT4, hSOX2, hcMYC, hKLF4, hNANOG,hLIN28の6個の遺伝子(ヒト由来)でした。
  • 岡山大学守屋先生の遺伝子つなひき法 … 酵母の中で酵母が耐えられる遺伝子数の上限を探る方法。dosage compensationとの関係性がきになる。
  • ENCODE … RIKENのビッグプロジェクト。ノンコーディグRNAの網羅的探索を行なっている。
  • FANTOM … ゲノム上の情報にアノテーションを
  • ジャンクDNA
  • Brenner, Current Biology (1998) … junkという言葉に対するBrennerの考え方が見える。
  • Ohno, Brookhaven Symp Biol. (1972) … 大野先生がジャンクDNAを提唱した論文。取り寄せが間に合わず未確認。
  • 大野乾
  • 2R仮説 … 全ゲノムが重複したとする仮説。通称大野の仮説。(追記:これは一部に限定され、全ゲノム重複仮説の一部である。
  • Kellis et al., Nature (2004) … Manolis Kellisが酵母の近縁種間ゲノム比較によって全ゲノム重複仮説を検証しようとした論文。
  • DNA music … このエピソードの公開直前にちょうどこれに関するお便りが来たのでまた近々話します。
  • Ohno, Journal of Molecular Evolution (1997) … 大野先生の木村先生への追悼イントロを含む論文。”My fond memories of gentle Professor Motoo Kimura are many. “から始まる木村先生との思い出が綴られている。
  • 大いなる仮説 … 大野乾先生が生命はどこから来たかを議論した本
  • 進化の特異事象 … ノーベル賞受賞者のChristian de Duveが進化上で起こった様々な生命プロセスの獲得について議論した本

Editorial notes

  • 話をきいてわかったような気になったがおれは何も分かってない (soh)
  • レベルEが染色体について教えてくれた、レベルEは最高! (tadasu)
  • やはりレベルEは素晴らしい (coela)