51. It is what it is
Published on Apr 06, 2020
Episode summary
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の原理について基礎から話しました。dessanをゲストに迎えました。
Starring
Show notes
- PCR(ポリメラーゼ連鎖反応) … 特定のDNAサンプルから目的のDNA配列を増幅させる方法。分子生物学における最も基本的な実験の一つ。
- DNA(デオキシリボ核酸) … 地球上の生命体の遺伝情報を司る高分子化学物質。いわゆるDNA。
- 水素結合 … 水素間で起きる非共有結合性の相互作用。2本のDNA鎖が反平行に配向し二重らせん構造を形成する際、A-T,G-Cの間は水素結合によって結ばれる。A-Tは2個、G-Cは3個の水素結合によって結ばれるため、結合の強度が異なる。共有結合やイオン結合と比べて弱く、ファンデルワールス力よりは強い。
- DNAポリメラーゼ … DNAを複製するために必要なタンパク質。普通のタンパク質は高温にすると失活して壊れてしまうため、PCRのようにサンプルを高温状態にするとDNAポリメラーゼは失活してしまう。初期のプロトコルではこのため、毎回DNAポリメラーゼが入れ替えられていたが、高温化で生息する好熱性細菌から耐熱DNAポリメラーゼが発見され、PCRが一気に広まった。
- 半保存的複製 … 相補的な二本鎖DNAがどのように複製されるのか。DNAが非常に情報メディアとして特有の振る舞いをみせる。DNA複製システムを明らかにしたのはスタールとメセルソン。メセルソンについてはep7を参照のこと。
- DNA複製 … 生物が細胞を倍加していく上で、遺伝情報を担うDNAも二倍にする必要がある。
- プライマー … DNAポリメラーゼは基本的に一本鎖DNAをそのまま複製することはできず、一旦二本鎖にする必要がある。その時に使われるのがプライマーと呼ばれる短い塩基配列である。生体内では基本短鎖RNAでPCR上では短鎖DNAが用いられる。
- サーマルサイクラー … PCRのためにサンプルの温度を上下させるための機械
- 電気泳動 … 荷電している分子を電場中で移動させる。これによりDNAやタンパク質を分離する方法。
- RNAウィルス … 遺伝物質としてRNAを用いているウィルスのこと。
- エチジウムブロマイド … 二本鎖DNAに架橋する。紫外線を当てると蛍光を発するため、核酸の検出などに用いられる。
- qPCR(定量PCR)
- RT-qPCR
- Researchat.fm ep37 … 前回のdessan出演回。分子生物学の基礎について話しています。
- Researchat.fm ep24 … PCRの発明者でノーベル賞を受賞したKary Mullis追悼回。こちらでもPCRについて詳しく話しています。
- TAKARAのPCRの説明とそのプロトコル … PCRキットを販売するTAKARAのPCRの説明とそのプロトコル。非常にわかりやすい。トラブルシューティングもしっかりと書かれているのでPCRが動かない時はしっかりプロトコルを読もう!特にP.6からのPCRの原理の部分はPCR原理の理解の助けになると思います。
- dessanによるPCRまとめ図
Editorial notes
- 私の部屋で撮ったのでハウスメイトにビビって最初のほうは音声が小さいです。申し訳ありません。(dessan)
- 生物の機構とPCRの対比を行うことでわかりやすくなったのではないかと期待しております。 (tadasu)