Researchat.fm

Researchat.fmは、バイオロジーの研究者3人がアツいと感じていることを自由に話すポッドキャスト番組です。

5. 2019年 Researchat.fm 関連論文まとめ

2019年12月31日

By Researchat.fm

2019年 Researchat.fm で紹介した関連論文まとめ

2019年の2月からResearchat.fmを始め、様々な論文について話してきました。 Researchat.fmの各エピソード内で紹介した(or 心の中では触れた)論文とその周辺論文についてまとめました。 2020年もたくさんの論文を紹介していこうと思っています!

Ep39: Podcast Year … 年末振り返り回

Ep36: DNA-of-things … DNA入り3DオブジェクトをプリントするDNA-of-things (DoT)の技術紹介

Ep35: Get amplified after death … DNAバーコードを位置情報と共に読み出すZombieの紹介

Ep33: Rising … 雑談回

Ep31: Editing the unedited … ゲノム編集技術Prime editing (PE)の解説

Ep26: Cool tech googlability … CRISPR-Cas13システムを用いたRNA編集技術であるREPAIRとRESCUEの解説

Ep24: Driving, Surfing, and Sciencing … PCR法を発明したKary Mullis追悼回

Ep22: Evolutionary selected life … CRISPR-Cas9を用いた一塩基ゲノム編集技術

Ep21: Living in the base-21 world … 雑談回

Ep19: Neuron Musk … Neuralink特集回

Ep18: WikipeDNA … 雑談回(DNA Storage)

  • Organick et al., Nature Biotechnology (2018) Random access in large-scale DNA data storage. … Microsoft社により開発されたDNAストレージ技術。DNAマイクロチップ上に合成された数十万種類のDNAにはデータの他にそのデータブロックを示す番地情報が同時に付与されている。この番地情報に相補的なDNA配列をプライマーとして利用することでPCRによってランダムアクセスを実現した。この手法により、200MB程度の動画データの読み書きがデモされた。
  • Church et al., Science (2012) Next-Generation Digital Information Storage in DNA. … Sriram KosuriとGeorge Churchらによるoligo chip synthesisを用いた最初のDNAデータストレージ論文。この研究では、PIでありながらもGeorge Churchはベンチに立ち、ピペットを握り実験したんだよと以前SriはSohに話してくれた。ちなみにSriはUCLAでPIとして独立後、Octantという製薬のベンチャーを立ち上げた。
  • Roquet et al., Science (2016) Synthetic recombinase-based state machines in living cells. … CATALOGの創業者の一人、Nathaniel RoquetはMITの学生だった頃、Timthy Liu labで合成生物学の研究をしており、DNA組み換え酵素を組み合わせた複雑な遺伝回路を生きた細胞で実装することを成功させた。

Ep17: Ghost in the half-shell … 雑談回

Ep16: Beyond imaging … DNA microscopy解説回

Ep15: Fighting against myself … kyonゲスト回(趣味雑談回)

Ep14: Popte-PIWI-c … kyonゲスト回(piRNA経路の解説)

Ep13: Once in a lifetime … 雑談回

Ep11: Intelligence requires a body … 身体改造・拡張特集回

Ep9: One-shot beautiful experiment … Sydney Brenner追悼回 2

  • Sulston et al., Developmental Biology (1983) The embryonic cell lineage of the nematode Caenorhabditis elegans. … Sulstonらによって線虫の全細胞における細胞系譜が初めて明らかにされた記念碑的な論文。Sulstonは4時間に及ぶ顕微鏡観察を毎日2回繰り返すことを何年も続け、959個の細胞系譜を明らかにした。
  • McKenna et al., Science (2016) Whole-organism lineage tracing by combinatorial and cumulative genome editing. … Jey Shendreによる全く新しい細胞系譜の追跡方法。CRISPR-Cas9によるゲノム編集を人工的な配列に引き起こすことにより、生体内で変異パタンを生成させ、このパタンの系統樹を描くことにより細胞系譜を追跡するGESTALT法。ゼブラフィッシュにおける複雑な細胞系譜が顕微鏡を使わず、一度のシーケンシングによって再構成できることを世界で初めて示した。このアイデアに世界中の研究者らが触発され、多くの関連技術群が開発される契機となった。
  • Frieda et al., Nature (2016) Synthetic recording and in situ readout of lineage information in single cells. … Long CaiとMichael ElowitzらによるCRISPR-Cas9と一分子RNA FISH法を組み合わせた細胞系譜の追跡技術、MEMOIR法。人工的な配列が時間経過とともにゲノム編集によって破壊され、一分子RNA FISHの蛍光が減弱するパタンを利用して、細胞系譜を追跡することができる方法。
  • Livet et al., Nature (2007) Transgenic strategies for combinatorial expression of fluorescent proteins in the nervous system. …Brainbowのオリジナル論文。Cre-LoxPによるDNA組み換え酵素によって複数の蛍光タンパク質をランダムに発現させ、その多色のパタンによってクローンを標識・追跡が可能となる。
  • Zador et al., PLos Biol. (2012) Sequencing the connectome. … ZadorらによるDNAバーコードを用いたコネクトーム計測のアイデア論文。大規模な空間情報を顕微鏡を使わずにいかにシーケンシングによって明らかにするか?という全く新しい発想を提示した一方、このアイデアがどのように実現できるのか、この当時はまだ自明でなかった(今も)。
  • Lieberman-Aiden et al., Science (2009) Comprehensive mapping of long-range interactions reveals folding principles of the human genome. …Hi-C法のオリジナル論文。この論文を起点として、核内における染色体高次構造、クロマチン構造解析が爆発的に進むようになった。
  • Dekker et al., Science (2002) Capturing chromosome conformation.…Hi-C法の基礎となった3C法のオリジナル論文。ホルムアルデヒドによる固定、制限酵素による切断、ライゲーション、PCR増幅という分子細胞生物学に必須ないくつかの基本的なテクニックを組み合わせることで、Job Dekkerはこの天才的なアイデアを生み出した。3C法の発明は分子細胞生物学、ゲノミクス研究の歴史において特異点的な偉業である。Job Dekkerはこの方法論にたどり着いた理由について、彼自身が博士時代にNMRの研究を行なっていたこと、分子生物学の実験でPCRだけはうまくできたこと、実験初期にすぐにうまくいったことだと、以前tadasuに語ってくれた。しかしその特異さゆえ、2009年のHi-C論文が世に出るまではなかなか評価されることはなかった。

Ep7: In the golden age of molecular biology … Sydney Brenner追悼回 1

Ep2: An emerging technology is always not perfect … CRISPR説明回

Ep1: 600 tabs in your browser … 雑談(染色体本数とザリガニ/ロブスターの話)